進行性網膜萎縮はPRA(Progressive Retinal Atrophy)とも呼ばれ、網膜が徐々に薄くなり、最終的に失明する眼疾患です。

複数の遺伝子変異部位が見つかっており、遺伝性眼疾患だと考えられています。

両目に起こり、遺伝子変異部位や発症時期、進行の速度等は異なりますが、発症後の経過を含め症状は似通うそうです。

一部の犬種では進行性網膜萎縮(PRA)を発症させる遺伝子変異が特定されており、遺伝様式は常染色体劣性であることはわかっております。

初期の症状は夜盲のみで、日中は目が見えていますから視力の低下に気付きにくく、痛みを感じることもないので、嗅覚や聴覚、生活習慣から「いつも通りの行動」ができてしまいますので、飼い主さんの多くは愛犬の眼が突然見えなくなったように感じるようです。

薄暗いお部屋でのボール遊びに反応できなくなるといった症状で見つけられるケースもあります。

早期発症型では生後数ヶ月から2歳くらいまでに発症し、早い時期に暗い環境での視力が著しく落ちます。

遅発型では4~6歳程度の中年齢以降に発症し、進行も遅く、失明も生涯の後期に起こる例もあります。

診断方法は、ERG(網膜電位図)、対光反射、眩惑反射、威嚇まばたき反射、神経学的検査、細隙灯検査、眼底検査、超音波検査などがあります。

光の当たり具合で「ビー玉みたいな目」に見えると表現する飼い主さんもいます。

   

PRAの中には、遺伝性以外に、代謝に関わる病気、腫瘍、栄養不足(ビタミンEなど)、炎症等を原因として発症するものもあるという獣医師もいます。

ふくふく動物病院の院長・平松育子獣医師

https://wanchan.jp/disease/detail/15554

       

イタリアングレーハウンドのPRAの発症率は1万匹に数匹というほど非常に少なく、5歳で0.027%、6歳で0.056%、7歳では0.036%という調査もあります。

アニコム損害保険株式会社

https://www.anicom-sompo.co.jp/doubutsu_pedia/node/973

ペット保険で国内最大手であるアニコム損保㈱ですが疾病の発症は会社の利益に直結しますので調査結果はほぼ正確なものだと考えます。

               

日本で1年間に生まれるイタグレはおよそ3千頭(2019年・JKC)です。

PRAの発症率で考えると、1~2年に1匹くらいしか発症事例はないことになります。

それほどまでにイタグレのPRA発症ケースは稀有ということになります。

        

PRAを発症させる原因遺伝子については数十種類を超えるほど多く、

チワワやプードル、ヨークシャテリア、パピヨンなどは、prcd遺伝子。

ダックスフンド、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルでは、CORD1。

アイリッシュ・セッターでは、rcd1。

ウェルシュ・コーギー・カーディガンでは、rcd3。

ゴールデン・レトリーバーでは、SLC4A3、TTC8、prcdの3種類。

プードルの場合は、prcd以外にも他の原因遺伝子の存在が指摘されていますが、現時点では他の因子の関与は特定されていません。

又、イタリアングレーハウンドのPRAを発症させる原因遺伝子も残念ながら現在でも特定されていません。

上記、現代の医学で分かっている限りですが、将来更に起因となる遺伝子が増える可能性は否定できず、研究が進むにつれ発症可能性は増えるものと考えます。

          

ブリーディングに用いるすべての父犬、母犬は検診をするべきで、眼に異常のない犬のみが繁殖に用いられるべきです。

          

1.我が家では獣医師により眼検診をしていただき全犬問題は見当たりませんでした。

2.ブリーディングラインは、母犬で4つの血統、父犬では5つの血統にてブリーディングを行っており、数代に渡り各血統を残していますがPRAの発症を確認したことはありません。

3.遺伝子検査会社に委託してPRAのprcd遺伝子検査も行い全犬クリア(問題なし)との結果をいただいております。

※イタグレのPRA発症遺伝子は確定されていませんが遺伝子検査会社と相談の結果、最も多くの犬種の発症因子であり、最も可能性の高いと考えられるprcd遺伝子検査を行いました。

4.国内で出産されるイタグレのおよそ4%が我が家出身の子です。我が家のパパ・ママ全犬がPRAキャリアだとしましたら確率的には毎年約30匹の子犬がPRAアフェクティッドとなります。そうなりますと我が家の子だけで数えてもPRA発症率1%になってしまいます。アニコム損保㈱の調査ですとイタグレのPRA発症率はおよそ0.03%。発症率の差が大きすぎて医学に疎い私共に答えは分かりかねますが、いずれかの発症率が大きく間違っていることになります。

         

現代の医学ではこれ以上の検査は非常に難しくなってしまいます。

専門家に相談に乗ってもらったのですが一介のブリーダーが調べられるレベルではなく、研究機関や大学の研究室で調査するレベルになります。

         

しかしながらそれでもPRAの疑いが発生した場合、遺伝性疾患であるとの可能性が高い為、PRAの疑いが発生した子犬の父犬の血統と母犬の血統とをブリーディングさせることを中止します。

そのことで、万一いずれかにPRAを発症させる遺伝子変異を持つ血統があっても子犬はPRAキャリアとなり、常染色体劣性であるPRAは発症しない(アフェクティッドになりえない)ことになります。

          

現代医学でも分かり兼ねることが非常に多くあります。

人間でさえすべての病気の原因も解明されておりません。

それでも分かる限りのことは行い、出来ることは率先して行います。

常に情報は集め、アニマルウェルフェア(Animal Welfare)に則したブリーディングを行っていきたいと思っています。

最新の臨床研究に伴い訂正・変更・修正・追加は随時行っていきます。

新しい情報などございましたら情報元・URL等と合わせてお教えいただけると幸いです。

ドッグブリーダー「パピーズ・ママ」

丸山 淳子

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